第14章 祭り囃子と夏の終わりー前編ー
「バイバーイ」
二人で親子に手をふって見送る。
「馬鹿松.... あんたズルしたでしょ?」
前を向いたままそう言えば、ケタケタと笑いながら何のことなんて白々しくいう。
「....ありがとう」
そう言った瞬間にふわりと頭に手を乗せられた。
「あのな、俺といる時は笑ってよ?その為ならおそ松くん頑張っちゃうからさ」
ばっと横を向けば、優しい顔して笑ってた。
なにこいつ....
「....馬鹿、馬鹿だね、ほんと」
こいつ、やっぱり馬鹿だ....
「馬鹿でいいよー、それで鈴音が笑えんならそれでいい」
カラカラ笑いながら、そんな馬鹿なこといっちゃって....
何をいっていいかわからない....
胸が苦しい....
馬鹿なのに、こんなに馬鹿な奴なのに....
「ほらっ!」
私はおそ松にぽいっと物を投げる。
「っと!なにこれ?」
「やる!いらないし」
私はさっき自分でとったジッポをおそ松に投げつけた。
「お礼、一応」
可愛くない渡しかただななんて、自分だってわかってるけど
どうしてかこいつの前だと、素直になれない。
「サンキューな!」
へへっと鼻の下をこすって、嬉しそうにしやがってさ....
「他の連中探しに行くから、先に戻っててよね」
「えー!なんでなんで?一緒に」
「来たら殺す」
わかんないけど、今はなんかもやもやして一緒にいれないし。
「へーへーわかりましたよー
チョロちゃんに相手してもらうからいーもん」
すねながらどっか行きやがった。
けっ!はよ行け!馬鹿!
.....本当に馬鹿なんだから