第14章 祭り囃子と夏の終わりー前編ー
「あちゃー、負けっちった」
見事命中したのは鈴音の弾だ。
やるねー
さすが俺の見こんだ女だわー
が、しかし
「ってめぇ!ふざけんな!ぼけっ!」
物凄い暴言を吐きながら、俺につっかかってくる。
「もう、女の子がそんな暴言吐いちゃいやん」
わなわなと震える鈴音、どうやらかなりご立腹のご様子。
「お前一瞬目をそらしただろ!?手を抜くなっつったよな?!」
ギラギラした瞳が本当に、怖い。
真面目な性格がこじれるとこうなるのね。
「いやー、ごめんごめん、でもそれ鈴音のせい」
ああっ!?とキレている鈴音の横髪をそっとすくいとる。
「つけてくれたんだな」
にかっと笑うと、くそ馬鹿と言われ逆方向を向かれた。
そりゃ目をそらしちゃうわ。
だってさ?
横で金魚が泳いでんだよ?
見ないはずないよね?
「っとに、素直じゃないなー」
「はぁ!?素直!?いつだって素直ですけど?!むしろ心から素直だし!あんたなんか嫌いだし!!」
むきになっちゃって、抱き締めたいわ、吸っちゃいたいわー
もちろん人の居ないとこで!
「ふ、ふん!負けは負けだよね?んじゃお願い聴いてもらいましょう....」
ピタリと鈴音の言葉が止まる。
目の前の光景に目を奪われたみたいだ。
とても切なそうな顔をして....
寂しそうな瞳が揺れていた....