第14章 祭り囃子と夏の終わりー前編ー
二人とも弾が最後の一発になる。
さすが鈴音だわ、他の奴なら楽勝に勝てる自信あったのに。
渡された弾6発、二人とも一つも外すことなく景品をゲットしていく。
「やるじゃん、でも次で最後だから.... 」
完全にスイッチはいってる、お兄ちゃんこわーい。
「お前、本当可愛くないわー」
俺の選んだ浴衣着ないし、勝負は一歩も引かないし
お兄ちゃん泣いちゃうよ?
「お前に可愛いとか思われても迷惑だから」
生意気な女ってどうしてこうも屈服させてやりたくなるんだろうねー?
俺って性格くずかもねー?
「んじゃ、あれで終わりにしとく?」
指差すのはジッポだ、赤い蜻蛉が入ったやつ。
「なるほど、これじゃきりないもんね?認めたくないけどその腕は認めるわ」
本当、生意気だな。
お兄ちゃんにはツボだけどね!
「あれを先に落とした方が勝ちな?あ、あと」
面白いから内容変更。
「血は吸わないけど、ヤらせてね?」
一瞬の沈黙
「....あぁ殺る?殺りあうなら大歓迎だけど?
ただし、お前をハンデとして棺桶にくくりつけてからならいいよ?」
うわー、顔は笑ってるけど怖い怖い。
「わかってるくせにー」
「....死ね、クズ」
そんなこんなで、一騎討ちが始まる。
やっぱ互角のやつとやりあうからこそワクワクすんだよね!
二人でじっと狙いを定める。
ここだと思った瞬間引き金を引く。
パンっ、パンっと銃声が二つ響いた。