第14章 祭り囃子と夏の終わりー前編ー
深みのある真っ赤な紅色の浴衣が、目の前でちらつく。
「馬鹿!触らないで!はずいから!」
そう言ってぐいっと手をどかせば、にかっと笑われる。
「そっかそっかぁ、恥ずかしいかぁ!可愛いなぁ鈴音は!」
デリカシー0かこの男は!
「なぁ鈴音!お兄ちゃんと遊ぼうぜ?」
ガシャッと渡されたのは射的用の銃だ。
「賞品を何個落とすか、勝負な?」
だから遊んでる場合じゃない....
「鈴音が負けたら、そうだな、一リットルほど吸うから」
....ん?
「遊びには危険をいれないと、ワクワクできないだろ?」
それさ、軽く生命の危機だよね?
「そのかわり、鈴音が勝ったら鈴音の望んでることなんでもしてやるよ?」
....よし乗った。
土下座させてやるこの馬鹿。
「いっとくけど、私上手いよ?いいの?手とか抜かないけど?」
「んー?知ってる。でもさ....」
パンっと音がなって、コンっとキャラメルの箱が下に落ちる。
「手抜くなよ?俺も抜かないから」
一発で落としやがった....
こいつ、馬鹿だけど腕は確かだわ。
「ふふっ、面白いじゃん」
パンっという音の後に、倒れるのは小さなくまのぬいぐるみ。
「かかってこいよ?私も手とか抜かないから、てゆーかあんたが手ぬいたらこっちで撃つからね」
ちらっと浴衣の裾をめくって、ホルスターの銃を見せる。
「うわっ、エロいねー?なになにサービス?」
.... 決めた、こいつ絶対土下座させる。