第14章 祭り囃子と夏の終わりー前編ー
「や、やっと逃れた... 」
あのあとすぐに松代さんが、来てくれたからいいものの。
なんかとんでもない扉を開けてしまったような気がした。
考えるのはよそう、人間誰しも人には理解できないことが山ほどある。
あっいや、彼女は悪魔か。
どちらにしても、深く考えるのはやめよう。
頭痛が酷くなる。
眉間をおさえながら、神社へと赴く。
皆先に行っていると言ってたけど、何処にいるんだろう?
「さっきのみた!?同じ顔をが五つもあったよね!?」
「そうそう!!なんか変な柄の浴衣を着てる人とかいたー!!」
通りすがる女の子達から、口々に広がる噂。
あー、これは予想内だけど。
あのあとにこれってなぁ、うん。
力なく笑うしかないわ。
「鈴音ちゃん!」
後ろから名前を呼ばれて振り返ると、そこにはへの文字口の吸血鬼が一人。
「チョロ松くん!」
モスグリーンの浴衣に身を包んだチョロ松くんが、私の元へと歩み寄ってくる。
「鈴音ちゃん!よかった、見つかって!」
汗がにじむ額をみつめる、走ってきてくれたんだ。
「僕の選んだ浴衣、着てくれたんだね?」
嬉しそうに笑うチョロ松くんに、胸がきゅうっとなる。
「うん、よく似合ってる.... けど.... ん?」
首をかしげるチョロ松くん。
「なんか.... 違う?でも、ふふっ似合ってる」
気のせい?一瞬どこか寂しそうな顔をしたように見えたんだけど....
そんなことを思いながら、私は他の兄弟たちの行方をきく。
「チョロ松くん皆は??」