第14章 祭り囃子と夏の終わりー前編ー
「ベルフェゴールにも手伝ってもらいましょう。」
私の一言に目をまんまるくするのは、松代さんだ。
「鈴音様?おっしゃってる意味がおわかりなのですか?」
その一言に、あぁ松代さんは全部わかってるんだとそう感じとる。
「はい、わかってます。いいんです。いいんですよ松代さん。」
私は松代さんににこりと微笑んだ。
そんな私に困った顔をする松代さん。
どうしてよいかわからないのか、その場に立ち尽くすベルフェゴール。
でも.... と松代さんが何かをいう前に私は松代さんの言葉を遮る。
「お願い、松代さん。私のお願い聴いて?」
じいっと松代さんの瞳をまっすぐに見つめる。
「あぁもう!そんなお顔されたら私何も言えません!私知りませんからね!」
何故か頬を赤くして、仕方ないんだからって感じに言う松代さん。
ちょっとチョロ松くんに似てる。
「ベルフェゴール、そういうことです。お前も手伝いなさい」
と思ったのもつかの間、仕事スイッチに切り替わった松代さんは誰にも止められない。
「は、はい!」
そう言って、恐る恐る入ってくるベルフェゴール。
櫛をとって、ゆっくりと私の髪をといていく。
やっぱり松代さんの前だと緊張するようだ。
そりゃそうか、なんせメイド長だもんね。
ガッチガッチになっているベルフェゴール、きっと何かしらをいいに来たんだろうな。
じゃないとわざわざ来ないよね。
んー、と少し考えてから松代さんにぽつんという。
「松代さん、私喉が乾きました。」
とりあえず、話をしてみるか。