第14章 祭り囃子と夏の終わりー前編ー
「かしこまりました、では他のメイドにいって.... 」
そうくると思った。
「私ね、松代さんがいれたお茶が飲みたいです。」
その一言に、困った顔をする松代さん。
でも.... とまた何かしらをいう前に、松代さんの口を封じる。
「私、松代さんのいれたお茶がスッゴいスッゴい好きなんです。
とっても美味しいから。だから【松代さんの】いれたお茶が飲みたいです。」
嘘偽りはない。
むしろ本当にそう思ってる。
ここで言うことではないけど。
「あぁぁぁ!!もう!!松代は、松代はぁ!!」
頭を抱える松代さん。
ふふっと笑う私に、はぁっとため息をつく。
「もう.... 鈴音様にはかなわないわ.... わかりました、いれて参ります」
そう言って部屋を出ていく松代さん。
「どうして.... 」
私の行動が理解できなかったのか、私の後ろで呆然と立ち尽くすベルフェゴール。
「話に来てくれたんでしょ?上司が居たら話せないもんね」
鏡をのほうを向きながら笑う。
きっとこの後、誰かしらに怒られそうだなと思いながら。
「うち、あんたを殺そうとしたんやよ? 今やってほら?」
するっと後ろから首に手をかけられる。
冷たい手だ。
「私ね、記憶力悪いの、だから忘れたわ」
冷たい手がピタリと止まる、鏡にうつる私とベルフェゴール。
「あのあと、うちがどうなったかわかるか?皆に馬鹿にされて....」
低い声が響く。
「うちが、あんたを殺して自分も死ぬ気でここに来てたとしたら?」
首にベルフェゴールの長い爪がつうっとあたる。
「そうなったら、そうなった時で自分が馬鹿だっただけよ」
その瞬間だった....
ぐっと首もとに力が入る。
締め付けられる首....
やっば
選択間違ったかもね