第14章 祭り囃子と夏の終わりー前編ー
さて、次は黄色....
おおっ!これは!
クリーム色の生地にオレンジの模様が、元気になれそうな浴衣だ。
帯の色は山吹色、でもひとつだけ気になったのは.....
「根付け野球ボールとバットだ」
木彫りの野球とバットに、黄色のトンボダマが可愛い根付け。
きっと全部野球だとかバットにしたかったんだろうな、ん?
なんでそうしなかったんだろ?
帯と根付けの間に挟まっていた、薄い黄色のメッセージを目にする。
表にでっかく野球って書いてる。
やっぱりな!
くるっと後ろを向ける。
ー鈴音ちゃんへ!
本当は全部野球柄とかにしようと思ったけど!鈴音ちゃんは女の子だからね!!ー
十四松くん、なんだろう胸がジーンっとなったよ。
成長した息子をみているような気分になった。
さてお次は、トド松くんか....
おっと、これは意外だな。
古典柄だ。
黒い生地にピンク色の蝶が舞っている。
てっきり、めちゃくちゃ可愛い系のやつでせめてくるんだとおもった。
古典柄だから凄く大人っぽい。
そして何より可愛いのが
「すご、下駄までちゃんと模様はいってる!」
一緒に用意されていた下駄の鼻緒にも、浴衣の柄とおなじものが使われている。
「にしても、古典柄とかどっちかというと好きそうにないのにな」
下駄の上に置いてあった薄桃色のメッセージカードを手に取る。
ー鈴音ちゃんへ!
僕の選んだ浴衣は気に入ってくれた?今はレトロが流行りなんだって!きっと鈴音ちゃんに似合うと思うんだ!ー
なるほど、古典柄納得。
そんでもって相変わらずの丸文字。
女子か!色んな意味でほんとに女子かおのれは!