第14章 祭り囃子と夏の終わりー前編ー
「ほら!はーやーくー!」
目をうるっうるさせながら、上目使いしてくるあざトッティ。
「あー!もうわかった!わかったから!」
くそ、あのスマー●フォンさえなければ....
そんなことを思いながらよしよしとトド松くんの頭を撫でる。
うわっ、髪の毛さらっさらしかもつやっつやじゃん。
女子か....
「オレは行かないから」
縁側にいた一松くんの声がポツリと聞こえた。
「え?来ないの一松?」
チョロ松くんが意外そうに尋ねる。
「行かない、そんな人ばっかのところに行って何が楽しいの?オレには理解できない」
なんだかトゲのある言い方をするな。
「もー、一松兄さん!」
トド松くんが声をかけるも、無言でその場を去っていく一松くん。
なんだろ、なんかもやもやするんだけど....
「そういや鈴音ちゃん、浴衣は着るの?」
ワクワクしながら聞いてくるトド松くん。
「えっ?あー」
浴衣か、考えてなかったな....
「....緑色の浴衣は?」
ぼそっと遠慮がちにきいてくるのはチョロ松くん。
が....
「えーー!!なにいってんの!?女の子なんだからピンクに決まってるじゃん!」
えーと....
「違うよトッティ!鈴音ちゃんは僕とお揃いの黄色着るんだよ!!」
どっから現れたんだ十四松くん!!
「天井ではってた!」
忍者か!!
「じゃあ間をとってお兄ちゃんの色ってことで!」
ばっと逆さまに浮きながら目の前に現れる馬鹿松。