第14章 祭り囃子と夏の終わりー前編ー
「で。これなぁに?」
イタ松が持っていたチラシを取り上げてじーっと見つめる馬鹿松。
こいつ....
「大丈夫大丈夫、すぐ復活するって!」
なにかを察したのか、私にそう言ってくる。
無責任か!お前は無責任なのか!?
「んー?お祭り??!!!」
チラシをみた瞬間にはしゃぎ出すのは、十四松くんだ。
可愛い、可愛すぎる。
「お祭りねぇ....まぁでもたしかに、俺達今年夏らしいことしてないもんな」
いつのまにか治っていた松印のかき氷機をごりごりとまわしながら、馬鹿松は白いお山を作っていく。
壊れたと思っただけで、どうやらレバーがとれただけのようだ。
「レディ、夏の夜長に俺と祭り囃子を聴きながら求愛しあうホタルのように、二つで一つの光にならないか?」
いや、そんなワケわかんない台詞を、私に抱き抱えられたままどや顔で言われても....
全く響かない。
「言ってる意味がわからないから、却下で」
きっとお祭りに一緒に行こうと言いたかったんだろうけど....
「れ、レディ!そんなこと言わないで俺と愛を.... 」
「僕いきたーい!ねぇねぇ鈴音ちゃんも一緒にいこー!!」
ぎゅーっと後ろから抱きついて、満面の天使の笑みでそう言ってくる十四松くんを拒否ることなど
「うん!行こう!十四松くん!」
ない!
「何故だ!何故俺はダメなのに、十四松ならいいんだレディ!!!」
そんな事を言わせるというのか
「「痛いから?」」
馬鹿松と私の声がハモった。