第14章 祭り囃子と夏の終わりー前編ー
青い空に白い雲。
こんななかで食べるかき氷は、ふと昔の懐かしい思い出を呼び起こす。
あの頃は、いちごが好きだったけど。
いつのまにかグレープ味が好きになってた。
今みぞれを食べているのは、たまたまグレープがなかったからだ。
....そういえば、いつからだったかな
グレープが好きになったのは....
懐かしい思い出にひたっていると、ばしゃっと顔に水がかかった。
「!?!!かき氷!!」
自分よりもまずかき氷の心配をしたが、すでに遅し。
水をかぶったかき氷は、甘い乳白色の液体にかわっていた。
「....誰?」
ゆっくりとイスから立ち上がる。
がしゃんと音がする。
水鉄砲を落とした音が....
「んな怒んなよー、事故!ねっ?じ・こ・!」
その一言に満面の笑みを浮かべる。
「鈴音ちゃんもやる??」
そういって差し出されたのは、緑色のプラスチックでできたどこにでもありそうな水鉄砲。
....じゅうぶん
「ありがとう、十四松くん!十四松くん私とゲームしようか?」
「やったぁぁあ!!」
ひゃっほーーーーいと防護服を着たまま両手をあげる十四松くん。
「ずりぃーぞ!十四松!俺だって鈴音と遊びた.... 」
「的はあれね?」
満面の笑みを見せながら、私は馬鹿松を指差す。
「ルールはね、あの馬鹿の目玉に水を先にいれた方の勝ち」
どこからともなく取り出した塩を、大量に水鉄砲の中に投入する。
「すっげー面白そう!」
喜ぶ十四松くんの背中のポンプの中には、これまたどこからか取り出したハバネロエキスを大量にほりこんだ。
「えっ、ちょっいや鈴音ちゃん?」
「じゃあ、ゲームスタート」
にーっこり笑ってそう言った。