第14章 祭り囃子と夏の終わりー前編ー
「ありがとう」
にこっと笑うといっすよいっすよという十四松くん。
「鈴音はなに味で食うの?」
いちごのかき氷が、しゃくしゃくという音を止める。
「みぞれ、そこに練乳」
そう答えながらみぞれシロップをかける。
そういや聞いたけど、実はかき氷のシロップはみんな同じ味らしい。
何事も見た目に騙されてはいけないということだな....
はいっと十四松くんから渡された、お好み焼き屋さんとかにある、マヨネーズをいれて細くかけるやつの中に入った練乳を受けとる。
練乳を手首にスナップをきかせてかけていく。
「あれだよな、なんか練乳ってエロいよな」
そんな馬鹿松のセクハラ発言に、なに食わぬ顔で顔面に練乳を発射。
「うわっ!不意うちやめてー!」
顔が練乳でどろどろになって、マジうける!
「おそ松兄さんどっろどろー!待っててー」
けたけた笑った後に、何処かに駆け出していく十四松くん。
うわ、勢いよくかけすぎて自分の手にも練乳がついた。
ちっ、馬鹿松のせいで....
「うわー、鈴音の手もべっとべとじゃん」
ぐいっと手をひかれる。
「ちょっ!何すんの!」
利き手を引っ張られて、手の甲にキスをされる。
突然の出来事に言葉を失う。
じっと見下ろせば、おそ松の瞳が私を捕らえる。
そのまま、指先に伝うのは赤い舌。
指の間、指先の練乳をイヤらしく舐めとられる。
「あっ.... やっ.... 」
上目使いで私を見つめる瞳が、有無を言わさない。