第13章 バスタイムはアロマキャンドルとともに....
「僕はさ、優しくないんだよ?」
顔をそらす鈴音ちゃんに語りかける。
「馬鹿は馬鹿だから、無条件で他人に優しくできるんだろうけど僕は違う」
僕は勝ち戦しかしないし、自分が傷つくのなんてごめんだし
無条件で優しさをあげれるほど、優しくなんてないんだ。
「ふーん、だったらトド松くん充分馬鹿だね」
僕の話を一刀両断しちゃうこの子は、本当に毎回なんなんだろ。
「そんな汗だくになって、私の髪洗ってさ?馬鹿だよ、ほんと馬鹿」
さっきまで恥ずかしがってたくせに、じいっと僕の瞳を見つめる。
強い光が宿る瞳で.....
棘のある言い方をしつつ、それって僕が優しいって言おうとしてるんだよね。
僕の価値観とかを壊していく君が、僕にとっては人間に気を許しちゃう最大の薬かもね。
でも、のってやらないし
そんな考え微塵だって出してやるもんか。
無言で鈴音ちゃんを抱き締める。
「な!?!やめ!馬鹿っ!裸じゃん!変態!ぼけ!!」
あわてててる、あわてててる。
「放せっつってんだろ!トド松この野郎!」
この暴言さえも、恥ずかしがってるのを隠してるんだとわかると
ふふっ.... 可愛いもんだね。
「僕なーんにも聞こえなーい」
人の弱味につけこみやがってなんて、じたばた暴れる鈴音ちゃん。
「そうだよ?僕そんな吸血鬼なの」
ふふっと笑えば、くやしそうに黙り混む。
優しくなんてしてあげないよ。
だってそれしちゃったら、僕きっと後戻りできなくなる。