第13章 バスタイムはアロマキャンドルとともに....
鈴音ちゃんの長い髪にシャワーを当てる。
「熱くない?」
「優しさが怖いんだけど」
この子はどこまで僕の心をきざめば気がすむの?なんて思ってたら
バスチェアの上で体をちっさく丸めてから
「....熱くない、ありがとう」
うん、落としてからのあげね。
なにテクなのそれ!
不覚にもちょっと可愛いと思ってしまった。
手にシャンプーをとって、ふあふあに泡立てる。
これでもかってくらいふあふあに!
煩悩!煩悩よ去れ!
「人に髪を洗ってもらうの初めてだから、なんか緊張するや」
なんだろ、物凄くいけないことをしてるような気がするんだけど....
「じゃあ、洗うね?」
そっと頭に触れる。
前から思ってたけど、ほんと綺麗な髪
ただ、ちょっとお疲れぎみなのか少しだけ傷んでる。
まぁでも、今日で艶々にしてあげる。
指の腹を使って、爪をたてないように頭皮を洗ってく。
「んー、トド松くんきもちぃ」
....なんだろやましい気持ちが出てくるんだけど
「シャンプースッゴい、いいにおいする」
まぁ、この日のために選んだから....
色んなお店まわって、あれは違うこれは違うって悩んだもんね.....
鈴音ちゃん肌弱いみたいだから、そんなとこも気を使って....
「甘すぎる匂いってあれかなって思ってたけど、これは好き」
ふふっと嬉しそうにそう言った。
.... なんだろ
あんなに苦労して、なんで僕がこんなことをなんて思ってた気持ちが嘘みたいだ。
.....か、勘違い、勘違い!
僕は人間なんて嫌いなんだから!