第13章 バスタイムはアロマキャンドルとともに....
全く
僕の気持ち全くわかってないんだから....
ごそごそと横の部屋で水着に着替えている鈴音ちゃんを待ちながら、僕ははぁっとため息をついた。
最近働きすぎの鈴音ちゃんに、せっかくくつろいで貰おうと声をかけたのに....
露骨に距離をとられるし、拒否られるし
うん、僕だって感情はあるよ。
少なからずある。
あんなことをしてしまったから、警戒するのもわかることはわかるんだけど....
力を使わないで、女の子の気を引くのってこんなに大変だったんだ。
....ふぅ
めんどくさい
ふっと、鏡を見つめて少しだけ力を解放すれば目に宿るオーキッドピンク。
この瞳で鈴音ちゃんを見つめちゃえば楽なんだろうななんて思う。
僕の力を使えば、女の子はみーんなメロメロになるけど....
「勘違いしてごめん、ありがとう」
水着を渡して直後にそんなことを言われた。素直に謝られると、なにも言えなくなる。
「僕もやきがまわったよね.... 」
一度瞬きをして、オーキッドピンクを消し去る。
どこか切なそうな顔が鏡にうつりこめば、その顔を確認したくなくてふっと違う方向を向く。
....女の子に嫌われたことなんてないから、どうやって扱えばいいか全然わかんない。
ゆらゆら揺れるアロマキャンドルの火と自分の心がかさなる....
こんなの
初めて....