第11章 彼女に福寿草を捧ぐ....
「十四松には.... なにも言うなよ.... 」
おそ松は俺を睨み付ける。
「それは、約束する.... だがな、お前一人で抱えきれる問題じゃないだろ?これは....」
差出人は、わかっていた。
俺とおそ松に深い傷をつけたそいつを....
何百年たっても忘れることはない....
「俺は....ダメだな.... カラ松.... 」
バサッとベッドに身を投げながら、左腕で顔を隠すおそ松。
「結局、また守れなかったんだ.... 家族一人守ることすらできないなんて..... 長男失格だ」
ぼそりと呟く言葉に、ふうっとため息をひとつつく。
「おそ松、お前一人で抱え込みすぎなんだ、もっと頼ってくれてかまわないんだぞ?」
その言葉に、ふっと笑って答える。
「なーにいってんの?俺は皆のお兄ちゃんなのー、頼れなくてどーすんの?俺は皆が幸せになれればなんだってすんだよ.... 」
今回はできなくて、逆に傷つけたけどな.... と力なくつぶやく。
こういう性格だから、ちょっとでも隙あらば入り込んで助けないとダメなんだ。
「馬鹿だよ、お前は救いようのない馬鹿だ」
「んだよ、イタ松ー」
全く目を離すとすぐ無茶ばかりする、だから救いようのない馬鹿だといっているんだ。
「カラ松ー、タバコなーい?お兄ちゃん葉巻がいーなー」
「病人でタバコ吸うやつがあるか」
真面目になったと思えばふざけて、隙をつくらないところもまた悪い癖だ。
「....サンキューなカラ松」
ぽつんと一言俺の胸に言葉が届けば、何故か歯がゆくなる。
もっと助けてやれたらいいのにな....
今回は十分みたいだが....
すすり泣く誰かの声を胸にしまおう....
ぱちんとおそ松に気づかれないように、そっと防音の結界を張った....