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【おそ松さん】月下に咲くは六色の花

第11章 彼女に福寿草を捧ぐ....



どうしてだ、ブラザー?
何故こうなったんだ?

俺がそういえば、目の前の兄は黙る。
一人でなんでも抱えてしまうのが、おそ松の悪い癖だ。

「何があったのか、俺には話してくれないか?」

「....言えない」

頑なに口を開こうとしないおそ松。

「なあ、おそ松このままじゃお前は、弟の恋路を邪魔した最低な兄になるんだぞ?」

ピクリとも反応しない、突っ掛かってこないあたりが確実に何かを隠しているんだろう。

何百年も兄弟をしているからな、それくらい俺にだってわかるさ....

「罪悪感からだろう?だからそうなってるんだろう?」

俺はおそ松の身体中に巻かれた包帯を見つめる。

酷い傷だった。

おそ松が本気を出せば防げていただろう。

だが....
俺は見ていた。

暴走して己に向かってくる十四松を、その胸に迎え入れてあえて攻撃をうけたところを....

「ごめんな.... 十四松」

正気を失っている十四松に何度も何度もそう言っていた。

「その証拠に彼女には、傷一つついていない」

あの爆風の中で、傷一つないなんて奇跡としか言えない。

いや奇跡ではない、彼女を十四松の攻撃から守っていたのは他でもないおそ松だ。

「わざわざ介抱をチョロ松に頼んでたじゃないか、自分の方がぼろぼろなのに、自分を二の次にして.... 」


その一言に隠し通せないと判断したんだろう黙ったまま、一つのカードを俺に投げた。

俺はカードを読み上げた。

ー吸血鬼を愛した愚かな女の命は私の手で消してやろう

それとも、私から全てを奪った貴殿が代わりに弟を傷つけるならば女は生かしてやる

選ばせてやろう

どちらにしても、可愛い弟の絶望を貴殿にくれてやるー

「悪趣味なラブレターだな」
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