第11章 彼女に福寿草を捧ぐ....
「何.... してるの.... その子.... に」
僕はふらふらとおそ松兄さんに近寄る。
「....みて、わかるだろ?.... 十四松.... 」
ぐったりと目をつむっている彼女を、その場にそっと寝かせながらおそ松兄さんは無表情で僕を見つめてくる。
「なんで.... こんな.... 酷い.... こと.... 」
僕はただただ呆然となりながら、ぽつりぽつりと言葉をこぼす。
「十四松.... 俺らはヴァンパイアなんだぜ、酷いこともなにも当たり前のことだろう?」
ーー人の血を飲むのは....
ドクンッと心臓が跳ねる。
「うそ.... だ.... こんなの.... 嘘だ.... だって.... 笑って.... た.... よ.... 十四松く.... 大好き.... て.... 」
こんな時なのに、僕は彼女の名前すら呼べなくて....
「名前も知らないのにか?十四松....いい加減目を覚ませ」
静かに響くおそ松兄さんの声....
金貨がじゃらんじゃらんと床にこぼれ落ちるのと同時に、僕の中の何かがプツンと切れた。
「う、うぅ.... あぁぁぁぁ!!!!!!!」
止まらない
もう
止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらないとまらないトマラナイトマラナイ
どぉぉぉんと物凄い音が耳をつんざく
ガラガラと響く音はなんなんだろう?
僕は何を?
僕はなんだ?
止まらない破壊衝動
なりやまない地響き
目の前にあるのは、悲しそうなおそ松兄さんの顔
大量の血の匂いが鼻孔を駆け抜ける。
ソッカ....
ボクハ....
バケモノダ....