第11章 彼女に福寿草を捧ぐ....
僕がそっと包みをあけると、黄色い小さな花が柔らかい土に包まれていた。
「これ?僕に?」
きょとんとしながら、そう聞けば彼女は僕にこくんと頷く。
「この花はね?福寿草っていうの」
彼女は優しく僕に笑いかける。
「永遠の幸せって花言葉があるんだ、十四松くんは人間じゃないから長生きでしょ?だから.... 」
ずっと幸せであれますように.... って
にこりと笑う彼女を見つめる。
この時すでに神様から警告があったのに、僕は気づきもしなかった。
もっと早くそれがわかっていたなら....
こんなに悲しい結末にならなかったのかもしれないのに....
悔やんでも悔やんでも、時間が戻ることなんてなくて....
「この花はね、春の訪れを告げる花なの」
「これ、食べれる?」
「えっ!!食べちゃ駄目だよ!?」
彼女はちょっと慌てながらもふふっと笑う。
「嘘!ありが特大ホームラン!!!!」
刻々と過ぎる時を、僕らの約束の場所が早足で刻んでいく。
その証拠に、彼女はふわりと優しく笑って僕にこう語りかける。
「もうすぐで春だね!十四松くん!」
風が僕の手の中にある福寿草と彼女の亜麻色の髪を揺らす。
「そうだ!今度またクッキー焼いてくるね?」
「マジすか?マジすか?マジすか?あざーーーす!!!」
まだ風は肌寒いけれど、春がすぐそこまで近づいていた。
そして....
幸せの終わりも....