第11章 彼女に福寿草を捧ぐ....
「十四松.... お前最近どこいってんの?」
そう言ってきたのは、一松兄さん
「え!?えーと.... えーと....」
この頃、僕たちは人間との関係をあまり深く持たないように気を付けてた。
「....まぁ、深くは聞かないけど.... 」
なにかを察してくれたのか、それ以上一松兄さんは僕になにも言わなかった。
ただ、とても心配そうな顔をしていたのをよく覚えてる。
「そうだ、十四松、今日のおやつはクッキーだって 」
僕のためにとっておいてくれたんだろう、一松兄さんは色とりどりのクッキーを僕の前に
持ってきてくれた。
「.... 食べないの?」
じいっとクッキーを見つめて、僕は彼女のことを考えてた。
豪華とは言えないし、華やかとかそんなんじゃないけど....
優しさの籠ったクッキー....
「うん、きょーは.... いいや」
そう言って、お皿を横に下げてぼうっと天上を見つめる。
「今日素振はしないの?」
いつの間に用意したのか、クリケットのバッドに荒縄で自分をくくりつけてる一松兄さん。
「んー.... 今日は.... いいや.... 」
ふと、窓の外をみればちらちらと雪が降っていた。
彼女は....
寒いおもいをしてないかな....
してないといいな....