第11章 彼女に福寿草を捧ぐ....
「だーれだ!」
ふわりと優しい香りが、後ろからする。
「えーと、えーと!僕を助けてくれた人!」
その問いかけに、彼女はふふっと笑う。
「ぶっぶー、残念、十四松くんが助けてくれた人でした」
にこっと優しく笑って、僕の隣に座る。
あれから何日くらいたっただろう?
彼女は僕に名前を教えてくれない。
「ねーねー!名前なんてゆーの?」
時計塔から足を投げ出しながら、ぶらぶらと宙を蹴る。
「....ごめんなさい十四松くん」
少し悲しげに笑う彼女に、あぁもう聴いちゃいけないんだとそう思った。
「そうだ十四松くん、今日ねクッキー持ってきたの」
そう言って、黄色い包みから瓶とクッキーを取り出す。
「私が焼いたんだけど、美味しくできてるといいな.... 」
そう言って差し出された小さなクッキーを、ぱくっと口に運ぶ。
「うんまーーーーーーい!!!」
時計塔から大声で叫べば、町中に僕のうんまーーーーーいが響く。
「よかった.... たくさん食べてね?」
そう言ってくれたから、いっきに口に運んだら....
「ん!んぐっんぐふぅ!!」
喉に詰まった。
「じゅ、十四松くん!お水!お水飲んで!」
彼女から差し出された水をいっきに飲み干した。
ぷしゅーっ!!
顔の穴という穴から水が噴水みたいに溢れだす。
頭?うん!頭からもでるよ!
「ん....んふぅ.... くっ.... あっはっはっはっ!ふぅ!はっはっはっ!」
彼女はお腹を抱えてたくさん笑う。
ぷしゅーっ!
いつもより多く出してまーす!
「んっふふふっ!あっはっはっ!も、もぅやめて十四松く...はっあっははは.... はう!!?」
笑い過ぎて彼女は顔を青くして地面に倒れた!
わっわわっ!ど、どうしよう!どうしよう!