第3章 紅い唇は背筋を凍らす
一歩、また一歩おそ松が歩くたびに、一本また一本と蝋燭の火が消されていく。
おそ松が近づいてくる。
正直、怖いとてつもなく怖い。
でも私のせいで、別の人が責められるのは嫌だった。
自分を助けようとしてくれてる人ならなおさら。
目の前でおそ松がピタリと止まる。
ばっと顎を持ち上げられて、顔を見つめられた。
さっきまでの瞳の色と全然違う。
血の色みたいに、深い深いワインレッドの瞳がらんらんと闇のなかで輝いている。
綺麗だけど、物凄く怖い....
やっぱりこいつ人間じゃないんだ、ってすぐにわかった。
あー、やばいわ
私今日死んじゃうかもしんない。
どうして早めに気づかなかったんだろ、ちょっと笑いたくなる。
まぁ鈍いのは今に始まったことでもないし、今さら後悔したところでこの状況が好転するわけでもない。
ならいっそのこと、自分の今思ってることそのまんまこいつにぶつけてやってから死んでやる。
「あんたなんか、大っ嫌い」