第10章 ミルフィーユは抹茶味で
ピピピピッ!
オーブンのタイマーが鳴り響く。
「や、焼けたね!」
あきらかにてんぱって台詞を口にする。
いきなり抱き締められたら、もうなにも言えなくなる。
オーブンを開けるといい匂いがそこいらじゅうに広がる。
「美味しそう!」
上手に焼けたなぁと思いながら、鉄板をそっと台の上に乗せた。
「上手くできてよかった」
そう言って胸を撫で下ろすチョロ松くん。
いや、もう非の打ち所がないくらい完璧でしたよ。
「じゃあ、シュクセはこのまま冷してカスタード完成させようか?」
冷蔵庫からカスタードを冷蔵庫から生クリームを取り出す。
「泡立てた生クリームをつくって、こしたカスタードと混ぜすぎない程度に合わせたら完成!」
よしっと腕捲りを二人同時にする。
「チョロ松くんはカスタードをこしてください!」
「ら、ラジャー!」
そして私は生クリームをひたすらホイップする!
「あっ!そうだ鈴音ちゃんお願いがあるんだけど.... 」
遠慮がちにそう言ったチョロ松くん。
何事と思ってそちらを向く。