第10章 ミルフィーユは抹茶味で
がしゃんと床に溢れて割れたのは、僕のアイスコーヒー....
抱き締めた腕に力が入る。
抱き締めずにはいられない。
どうして.... こんなに君を好きになってしまったんだろう?
腕の中の小さな鈴音ちゃんに、僕は救われた。
大嫌いな光さえも、君が綺麗だと笑顔で言ってくれたから僕はこの光が少し好きになれたんだ。
ライトグリーンの光を手に集めて、そっと君の頬に触れる。
血が乾いてしまった傷口が、みるみると塞がっていく。
そっとその手をとられて、本当に綺麗だと君は笑う。
君を救えるなら、僕は異端者と呼ばれ続けたってかまわない。
「僕は....鈴音ちゃんを.... 」
その言葉を紡ごうとして、僕は口を閉じる。
言えない....
ここでそれを言ってしまったら....
きっと皆....
胸が痛い
苦しい
切ない
悲しい
伝えたい
伝えられない
この関係が終わるのがたまらなく怖いんだ。
君の心が僕の手に入らなかったとしても....
だからね....
僕はやっぱり弱いんだよ....