第10章 ミルフィーユは抹茶味で
だから、今思っていることをそのままに伝える。
「弱く、ないよ?」
その言葉にじっとこっちを見つめるチョロ松くん。
彼はいつだってそう、私の目をじっと見つめてくる。
「チョロ松くんはさ、傷つくのが怖いだけなんだよ」
だから私も彼の目をまっすぐと見つめる。
「傷つくのなんてさ、誰だって怖いでしょ?それで弱いなら皆弱いよ」
私の言葉に耳を傾けてくれる。
「でもさ、そんなふうに言えるのは強くなろうとしてる証だから。チョロ松くんは全然弱くなんてないんだよ?前に進もうともがいてるんだよ」
上手く伝わるかなんてわからないけど、伝えたいことを精一杯伝える。
「チョロ松くんは、誰よりも優しくて強い人だよ?」
チョロ松くんの優しさを、私は知ってる。
本当は強いことも知ってる。
「何回でも何回でも言うから」
チョロ松くんのその力が彼の誇りになるまで....
「チョロ松くんの光はとっても綺麗だよ」
言葉と同時にフワッと体を包む、柔軟剤の香り。
「鈴音ちゃん.... 僕は.... 君が居てくれたらなにもいらない.... 」