第10章 ミルフィーユは抹茶味で
「ごめんなさい、お願いいたします」
丁寧にそう言えば、僕のせいだから当然だよと言われた。
パチンッと指をならすチョロ松くん。
フワッと現れるのは、ミントグリーンのエプロン。
マントとタキシードを脱いで、白シャツ姿になった後に腕捲りをする。
よしっといいながら、ミントグリーンのエプロンをつけるチョロ松くん。
「ものすごく聞きたいことがあるんだけど」
私の問い掛けに、んっ?とこちらを向くチョロ松くん。
「チョロ松くんてさ、料理できる人なの?」
ちなみに私はまーまーできる人。
ただ面倒なのであまりしない。
「あー、うん、一応だけど」
どうしよう、一抹の不安が芽生えたんだけど....
まぁでもここまできたらなるようにしかならない。
でもこれも仕事だからきっちりとこなさないと!
そう意気込みながら、冷めた牛乳とバニラビーンズの入った鍋を温め始めた。
その横で、チョロ松くんが卵を卵白と卵黄にわけはじめる。
うまっ、わけるのうまっ!
ちなみに私はなんの指示もしていない。
さっきまでの一抹の不安は消し飛んだ。
「卵割るの上手いね」
ぽそっと呟いた言葉に、嬉しそうに笑うチョロ松くん。
誰かと料理するのってこんなに、楽しいもんなんだ。