第10章 ミルフィーユは抹茶味で
壊れ物を扱うようにそっとそっと頬を撫でられる。
可愛いはずなのに、こういうところは....
天然、天然なのか....
「....いただきます」
耳元でそっと呟かれると、体がびくりと跳ねた。
この兄弟ってさ、どうしてみんなこんなにイケボなんだろうね。
ぎゅうっと目を閉じたまま、チョロ松くんを待つ。
が....
いつまでたってもなにもしてこないので、そろっと目を開ける。
目に飛び込むのは、モスグリーンの瞳。
でも今朝見たのとは全然違う。
柔らかい日光に照らされて、静かに穏やかに佇む森の色。
綺麗な瞳に引き込まれそうになりながら、じいっと見つめればチョロ松くんの瞳のモスグリーンに切なさが重なる。
「そんなに見つめられてたら、緊張するよ」
眉を下げて困った顔をしながら、にこりと笑われる。
「いや、いつまでたっても何もしてこないから.... 」
その言動にまた、頬を染めて
「い、いやぁ.... その.... か、かわ.... 可愛いなと思って.... 」
目線をそらしながら、恥ずかしそうにそう言ったチョロ松くんにこっちまで恥ずかしくなってきた。
かあっと顔が熱くなるのを感じる。
「か、か、可愛くない!可愛くないよ!」
そう言って慌てて拒否をする。
ダメだ。
ピュアが移るわ!