第10章 ミルフィーユは抹茶味で
かなり意外だったので、ポカンと口を開ける。
「あっえと、傷大丈夫かなと思って.... 」
そっと頬にあるガーゼを撫でられる。
そんなに心配してくれてたんだ。
「え!あ、ああ!大丈夫だよ!」
そう言えば、女の子なんだからダメだよって怒られる。
「ほら、じっとしててね」
そうっと剥がされたガーゼ、まだ傷口の塞がっていない頬からじわりと血が滲む。
ゴクンっと唾を飲み込むチョロ松くん。
あ、あれ?心配してくれたんじゃないのか
「ご、ごめん、ちょっとだけ舐めちゃだめ.... かな?」
あせあせしながらそういうチョロ松くん。
「あっ!いや、ダメなら全然断ってくれていいんだよ!」
なんだろ....
可愛い。
こんな可愛い生き物の願いを断れるはずもなく....
「....ちょっとだけだよ?」
そう言えば、ぱあっと嬉しそうにする。
ダメだ....
この天然の純粋なやつに私は弱いのだ。
十四松くん然り、チョロ松くん然り
どうやったらこんなに可愛くなれるのか....
顔を赤く染めてじっとこちらを見つめられるとそれだけでぎゅうっとなる。
「じゃあ.... 失礼.... します.... 」
血の出ていない方の頬にそっと手を当てられた。