第10章 ミルフィーユは抹茶味で
「じゃあちょっと待っててね?」
その問い掛けににゃーーん!と嬉しそうに鳴いた後に踵を返してキッチンを出ていった。
うん....
いいこだ。
とりあえずパイ生地の熱を冷ますとして、その間にカスタードを作るか。
棚から、薄力粉とバニラビーンズと砂糖をとりだす。
うわっ.... バニラビーンズって結構高いんだよね....
贅沢だな....
そんなことを思いつつお店とかにある大きい冷蔵庫の中から、牛乳と卵を取り出す。
それにしてもでっかい冷蔵庫だわ、やっぱりそんだけ食べるってことなのかな?
まぁ、野郎が六人もいりゃそうなるよね。
はて?と疑問を持つ。
六つ子達全員ヴァンパイアだよね?
主食って血液だよ?
なんでご飯普通に食べてるんだろう?
鍋に牛乳とバニラビーンズを入れて中火でかき混ぜながら、謎の迷宮をさ迷う。
いや?むしろ本当はヴァンパイアじゃないとか?
いやいやまてまてまて、それなら空飛べるわけないし、瞬間移動とか無理だろうし。
首に手をやれば、一松くんに噛まれた所につけてあるガーゼが手にあたる。
うん、血を吸われたね。
馬鹿松はともかくとして、温厚そうなチョロ松くんだって私の血を吸ってたし....
「沸騰させちゃダメだよ!」
その声にハッとして急いで火を止める。
声の主を探してぱっと横を向けば、朝に対面したばかりのへの文字口。
「チョロ松くん??」