第10章 ミルフィーユは抹茶味で
んーんんっんー!
よっしゃできた。
出来立てのミルフィーユ用のパイ生地を見ながら、自画自賛した。
綺麗な焼き目に、うっとりする。
ちなみにただいまお昼の1時だ。
このミルフィーユは、3時のティータイム用のおやつ。
つくづく思うけど、メイドの業務って本当に多忙だわ....
あのあと、チョロ松くんとトド松くんにお礼を言ってから業務に勤しんだ。
洗濯、掃除、テーブルのセッティング、松代さんの看病、来客への対応....
ほかにも色々と言い表せないくらい。
来客の対応は2、3回食われそうになった。
にゃーーん!
足元の黒猫が可愛らしく鳴く。
金色の愛くるしい瞳でじーっと私を見上げてくる。
猫という生き物は何故にこんなに可愛いのか....
まぁ、生き物は全般的に好きだけども!
「アル、おやつはちょっとまってね?」
何故に私がアルと行動しているかというと、お客様に何度か食われそうになったから。
危険なお客様が来るたびに助けて(脅してともいう)くれた。
「おやつは.... 笹身がいい?」
しゃがんでアルに話しかけると、アルは首を傾げた。
どうやら笹身ではないらしい。
「じゃあ鰹節?」
これまた首を傾げる。
んーなにがいいんだろう。
「もしかして、みんなと同じで甘いものがいいの?」
その一言ににゃーーん!と嬉しそうに返事をするアル。
なにこの可愛い生き物は!