第9章 メイドは冥土を統べる
ぷっ....
「....んっふふふっ.... ふっ」
口に手を当てて笑うトド松くん。
「....はぁっ.... おっ.... かし.... ふふふっ.... 」
ついにはお腹まで抱えはじめる。
なんだろ、なんか腹立つ....
こうなったらこの嘘を突き通してやる
「マジだよ!ほら!絨毯!絨毯で足引っ掻けたの!なんせ扉から落ちたりするくらいだから私!」
自分の醜態をさらして、なにいってんだ私はー!!
「あーはいはい、わかったよ、鈴音ちゃんが転けそうになった!だから誰も悪くないんだね」
本当に無邪気に笑うトド松くん、さっきの黒を孕んだ笑顔とはちがう。
心から笑ってる顔だ。
「じゃあ鈴音ちゃんにお仕置きかな?」
トド松くんがそう言って、私の前にふわりと現れるとペロッと血の出てる頬を舐めた。
「ひゃっ!」
「ん.... 美味しい」
舌舐めずりをして、唇についた血もしっかりと舐めとるトド松くん。
ごちそうさまとウィンクを一つして言われれば、こいつやっぱりあざといわっと心のなかでツッコミをいれる。
くそっ.... 不覚にも可愛いとか思わないこともないこともないこともない....
「.... 笑い事じゃないよ」
そう言ってぐいっと顔を引っ張られる。
目の前に写るのは、心配そうな顔した口がへの字のヴァンパイア
「もう.... 女の子なんだからもっと気を付けなきゃ....」
ふわっとライトグリーンの光が私を包もうとする。
優しいチョロ松くんの綺麗な光が....