第9章 メイドは冥土を統べる
その発言にガタガタと震えだして、膝をつくのはほかでもないベルフェゴールだ。
「ふーん、ねぇ?ベルフェゴール?お前は知らないかもしれないけどね?鈴音ちゃんはお前のだーい好きな一松兄さんにとってかけがえのない存在なんだよね」
ふふふって、楽しそうに笑うトド松くん
....ぶっちゃけた話、かなり怖い。
楽しんでいるように見えなくもないところが、怖すぎて笑えない。
「もし、この事が一松兄さんに知れたらどうなるかな?」
ベルフェゴールの前にしゃがんで、にっこりと笑い覗きこむトド松くん。
悪魔みたい....
そんなことを考えていると、すっとトド松くんが立ち上がる。
「ところで、アザゼル?アザゼルは鈴音ちゃんになにもしてない?」
くるりとアザゼルの方を向いてにこっと首を少し傾けるトド松くん。
「いえ、なにもしてません」
満面の笑みでそういい放つアザゼル、動揺の色すら見せずにだ。
とんだ嘘つきだこいつ....
黒っ!腹の中ド黒!
そっかぁと笑うトド松くん、つかつかとアザゼルの所まで歩いていく。
ダンッ!
静寂の中に響く、壁を蹴る音....
「僕さ、嘘をつくやつ嫌いなんだよね?ほら嘘をつくのって人間がすることでしょ?」