第9章 メイドは冥土を統べる
チョロ松くんの目の色が段々とモスグリーンに変わる。
前みたときよりも、もっともっと濃い色だ。
きっと深い森の中に迷い混んで、出られなくなったときに見る色。
「質問をかえるね?アモン、鈴音ちゃんの顔に傷をつけたのは誰?」
顔に傷?
ふと立て掛けてあったアンティーク調の木製の鏡に目をやれば、頬から血が流れている自分の顔がうつる。
あっ、やべ....
かすってたんだ....
ベルフェゴールに危ない壁ドンをされたときにかすったんだね....
気づかなかったわー
「チョ、チョ、チョロ松.... 様.... ど、どうかお許し.... を.... 」
大粒の涙が滝のように溢れだしている。
いてもたってもいられなくなって、私はアモンの前に立ちふさがった。
「この子は、悪くない」
じっとチョロ松くんを見つめる。
モスグリーンが急速に黒に戻る。
「あーもう!チョロ松兄さんたら甘いんだからー!メイド一匹も言うこと聞かせられないの?」
はあっとため息をつくトド松くん、ちらりと此方をみたあとににこりと笑った。
「アザゼル、鈴音ちゃんの顔に傷をつけたのは誰?」
「ベルフェゴールです。トド松様!」
即答であっさり答えやがったよこいつ!
最低だ!