第9章 メイドは冥土を統べる
「おーい、呑気に味噌汁飲んでないで助けてよ鈴音ちゃーん」
ガックガックされながら、松代さんによよよよっと泣き続けられる馬鹿松。
「いや、知らないし、テメーで蒔いた種はテメーで処理しろ」
米うっま!
お米たってるわ、艶々してるし!
ほんのり甘いな....
なんだ、なんの工夫してるんだ。
「松代は松代はあぁああぁ!!」
卵焼きうっま!
ふわっふわっ、箸をいれた瞬間から出汁が滲んでくる。
なにより素晴らしいのは焼き加減....
固すぎず、だからといって半熟すぎず....
卵焼きは意外と難しいんだよね?
「鈴音ちゃーん、卵焼き食べてないで助けてよー」
....ちっ!
「メシ食ってんだ!邪魔すんじゃねぇ!馬鹿松!うまいメシが不味くなる!」
おひたしうっま!
出汁だな、出汁がきいてるわ。
卵焼きでもおもったけど、これは普通の白だしじゃないな....
なんだ、なんの出汁だ。
アクセントの胡麻が香ばしい。
ふんふん、たしかに味付けは濃いなでもお米と食べたらいい感じだ。
「すっっごい、美味しい」
にこっと笑ってばっと前を向いたら、目の前に松代さんがいてビックリしてポロっと箸を落とした。