第8章 猫は紅い血に染まる
ガリッ
「あ.... っっっ!!!!」
首筋に容赦なく突き刺されるのは、一松くんのギザギザの牙
下半身の痛みと首筋の痛みが一気にやってくる。
涙が溢れて止まらない。
あまりの痛さに、気を失いそうだ。
首筋から放された牙からペロッと舌がでてきて、労るように舐められる。
「....鈴音痛い?」
痛いに決まってる、首も、其処も....
でもバイオレッドの切なげな瞳が私に違う言葉を紡がせる。
「痛く.... ない.... よ....?」
その言葉に目を大きく見開く一松くん、その後にペロッと頬を舐められる。
「....嘘つき.... なんで.... そんな.... 優しいこと言えんの....」
揺れる瞳
滲む視界
「わか.... ない.......一.... 松く.... をかな.... し.... ませ.... た.... ない.... 」
言葉を最後まできちんと紡げない....
ただ、目の前にいるこの人を幸せにしてあげたいと願う感情
悲しみを少しでも軽くしてあげたいなんて、大それたことを....
一松くんの悲しみの原因はきっと私なのに....
「バカだね....鈴音」
少しづつ動き出す一松くん
破裂の痛みが連れてくるのは、甘くて切ない快楽....
「あっ.... ふ.... 一松.... 一松く.... 」
自分の鳴く声が、徐々に高くなっていく。
一松くんが私と深く繋がるたびに鳴る水琴鈴の音が、自分の声と混ざりあって部屋に響いては消えた。