第8章 猫は紅い血に染まる
くちゅっと水の音が黒と紫の部屋に小さく響く。
「あっ.... やだ.... 一松く.... 」
顔を両手でおさえ恥ずかしそうにする鈴音に、顔が綻ぶ。
人差し指の腹をつかって、優しく優しく秘豆を擦れば可愛い声が部屋に響いては消える。
「....ひひっ、可愛いね」
その一言だけで、顔を隠す余裕さえなくして、ビクンッと体を跳ねさせてオレの指の動き一つ一つを感じる鈴音がいとおしい。
「あっ.... ひぁっ.... ダメ.... こわぃよ.... 」
初めての快感に溺れるのが怖いんだろう。
いつも強気なくせに、こういうときはやっぱり女の子なんだと思うと妙にいじめたくなる。
でも....
「大丈夫.... 怖くない.... 」
優しく優しく耳元で囁けば、一生懸命にこくんこくんと頷く。
指の動きを早くすれば、甘い声がより甘く色づいてオレの脳に直接響いてくる。
いじめたい
優しくしたい
むちゃくちゃにしたい
慈しんであげたい
色んな正反対の感情が、自分の中で混ざる。
こんな葛藤は、贅沢過ぎるのかもしれない。
愛しいからこそ、大好きだからこそ、こんな感情に苛まれる。
「んんっ!やぁっっ!一松.... く.... や.... だ.... なにか.... く.... る!」
気持ち良さそうに鳴いて....
「....イきなよ.... 」
甘い息を吐いて....
「やっ.... やぁぁぁぁぁぁん!!!」
それ全てを鈴音に与えているのは自分なんだと思うと、たまらなく心が満たされた。