第8章 猫は紅い血に染まる
一松くんの瞳の色を見つめる。
バイオレッド色の瞳....
夜を連れてくる間だけ空が見せる、昼と夜を繋ぐ一瞬だけみれる儚い空の色。
「そんなに見つめられると恥ずかしいんだけど.... 」
ぽつりとそう呟かれる。
「ごめん、あんまり綺麗な瞳だったもんだから.... 」
今まで、変化した瞳の色をそれぞれに見てきたけど....
何故だか怖いという感情が沸いてこない。
「そんなこというなら.... 鈴音のが綺麗だよ」
ぽつりと溢された言葉を確認する前に、そっと左胸に手を当てられた。
「んっっ.... 」
高い声が部屋に響く。
「.... すっごい、ドキドキいってる」
にやっと笑ってそう言われれば、羞恥心が音もなくやってくる。
「そ、そりゃ、あんなキスされたらドキドキもする」
今度は一松くんが顔を赤くする。
「それに.... 」
そっと一松くんの左胸に手を当てる、ドキドキと高鳴る鼓動が心地いい。
「一松くんだって.... こんなに.... ドキドキしてる.... 」
ばっと目を覆い隠される。
視界は真っ黒、冷たい手が瞼を冷やしていく。
「....こんな、顔.... みないで.... 」
耳元でそっと囁かれた後に、ペロッと耳を舐められた。
ドキッんと胸が高鳴った。