第1章 出会い
ピピピッ—
トド「あ、シコ松だ。チョロ松兄さん?…いやぁ、ちょっとバカ長男が女の子飼いたいってごねだしてさ。任務は一応完了したんだけど。」
おそ「どうせキミここの奴等にやりたい放題されてたんだろ?」
『…。』
トド「うん。ごめんごめん、すぐ戻るから。」ピッ
トド「ほら、おそ松さん!はやく戻るよ!」
おそ「…ハイハイ。」
おそ「ノーとも言わないってことは、イエスってことだな?」ガッ
『きゃっ!?』
抵抗する間も無く担がれ、私の身体の自由は完全に奪われた。
今までの人生もそうだったけど、私に拒否権というものはほとんど無い。
トド「え〜本当に持って帰んの〜?」
おそ「まぁまぁ、要らなくなったら捨てれば良いじゃん?」
トド「も〜…チョロ松兄さんに怒られても知らないからね。」
木端微塵になったアジトが段々と小さくなっていく。
随分長い間閉じ込められていたアジトを出ると、黄土色の土と青い空がずっと広がっていることを今日初めて知った。
しばらく担がれた後、私は荷物とともにヘリコプターに押し込まれた。
上空からの景色は余りに美しくて、長時間見入っているうちにいつのまにか眠りについてしまった。
それから数時間後—
ヘリコプターが地面に着陸する衝撃で目が覚める。
窓の外を見ると空はすでに暗くなっていた。
ガシャンッ
おそ「着いたよー。降りて。」
私は言われるがままにヘリコプターから降り、2人の後をついて行った。
アジト内にて—
おそ「ただいまーっ!」
チョロ「遅い!何やってたんだおまえら」
トド「違うって~!ボクは反対したけどおそ松兄さんが女の子殺さずに持って帰ろうとするからぁ!」
十四「女の子!?おそ松兄さん女の子持って帰ってきたのォ!?」
カラ「珍しいな。」
一「性欲溜まってんじゃない?」
2人が帰宅を告げたとたん部屋の中が騒がしくなる。
人の気配がとても少ないけど、ここは彼らのアジトのようだ。
お酒も煙草も散らかってなくて綺麗だな…と辺りを見回していると、サングラスを頭にかけている男性と目が合った。
ジッと、瞳よりももっと奥の方まで見られているようなその視線が怖くなって私はすぐに顔を伏せた。