第5章 おやすみなさい
おそ「犯さないよ。」
『え…?』
おそ「あ~!もしかして逆に襲って欲しかった!?」
『…っ!』
おそ「う、ウソウソ♡そんなコワい顔しないでよ。」
『私は今…真剣に、』
おそ「だから犯さないよ。」
『…。』
は…?
おそ「俺、無理矢理する趣味無いしなー。」
『…じゃあ、なんで』
おそ「なんで殺さずにここへ連れてきたかって?」
『…はい。』
おそ「言ったじゃん。なんとなくだよ。」
なんとなく…女を持って帰る?
理解できない…。
おそ「まぁまぁ、とりあえず今日はもう寝ようぜ。」
訳は分からないけど…
どうやら今は本当に犯されずに済むみたいだ。
おそ松さんの言う通り、今日はもう寝よう…。
おそ「ん。」ポンポン
掛け布団を開けて、自分の隣を軽く叩くおそ松さん。
『…ん?』
それって…
いや、まさかね。
『あの…あちらのソファーをお借りしても宜しいでしょうか。』
おそ「ブハッ!敬語やめる気ある!?」
『あっごめんなさい…。』
おそ「そんな所で寝たら身体痛くなっちゃうよ?」
『…えっと、じゃあ、敬語をやめる努力をしますので…!ソファーをお借りしても良いでしょうか…!!』
おそ「えっ!?そんなに俺と寝るの嫌!?」
『いっ、嫌とかそういうのでは』
おそ「大丈夫だって~!何もしないよ~さっきはちょっと意地悪してごめんてば~!」
『…。』ピク
ん…?意地悪?
おそ「オホン。これは命令だ。」キリッ
『…!?』
そんな卑怯な…!!
結局、命令に逆らえない私はおそ松さんと同じベッドで寝ることになった。
正直怖くて眠れそうにないからソファーで寝たかったんだけどな…。
おそ松さんが寝た後にこっそり移動しよう。
私は恐る恐るおそ松さんと同じベッドに入り、一番端に寄って、おそ松さんに背中を向けて横になった。
おそ「…んじゃおやすみ、愛ちゃん。」
おそ松さんはそう言って部屋の明かりを消した。
『…オ、ぉやすみなさい、』
おそ「…。フフッ」
私の"おやすみなさい"があまりにもぎこちなかったのか、小さく鼻で笑われるのが後ろから聞こえた。
誰かに"おやすみ"だなんて…
最後に言ったのはいつだっけ。
頭の中の記憶を遡るうちに、意識が段々と遠のいていく。
全然、思い出せないや…。