第5章 おやすみなさい
突然の質問に、一瞬言葉が詰まる。
『え…と、』
おそ「俺のこと、怖い?」
『、、、。』
何も怖くない。
と言ったら、嘘になる。
おそ「愛ちゃんは~、物静かなコなのかな?」
どう返すべきか分からず、ただ見上げている私におそ松さんがジリ、と詰め寄る。
『っ…。』
突然漂う緊張感を肌に感じ、じわりと冷や汗が流れる。
おそ「今日から俺はキミの御主人様です!!」
『っ、』ビクッ
おそ「つまり!俺の命令は…絶対です。」
おそ松さんの口角が、ゆっくりと上がる。
『…ぁ、』
飽きるくらいに聞いた、私が大嫌いな言葉。
おそ「返事は?」
『…、はい』
だめ…お願い、
これ以上聞きたくない。
そんな気持ちとは裏腹に従順な言葉が口から漏れる。
私の身体に染み付いた最悪の条件反射。
おそ「よし!…じゃあ、さっそく命令なんだけどさ。」
おそ松さんの両手が私の肩にポンと置かれる。
『っ…!!』ギュッ
…やっぱり、こうなるよね。
何もされない訳がないんだ。
瞑った目尻に涙が滲み、やはり心のどこかで何かを期待していたことを痛感する。
本当…救いようのない馬鹿だな。
私は息を静め、感情を殺す準備をした。
おそ「俺、素直な女の子が好きだからさ!これからちゃんと感情表現して欲しいんだよね?」
『…。』
思いもよらない言葉に、思わず目を開ける。
おそ「だからさ愛ちゃん!!」
『っはい!?』ビクッ
おそ「まず、俺達を怖がらないこと!普通に接すること!だから敬語も無し!あと、思ってることはちゃんと言う!」
『え、えっ?』
おそ「愛ちゃんのペースで良いから!少しずつなっ♪」
とおそ松さんは鼻の下をこすりながら笑った。
『…、』
私はというと、思わぬ方向への展開に全く追い付けず、思考停止していた。
おそ「こらっ、返事は?」
『ぁっ…ハイ、』
おそ「聞き分けが良くてよろしい♪」
私の頭をポン、と撫でるとおそ松さんは私から離れてベッドに腰をかけた。
おそ「んじゃ、そろそろ寝よっか。」
『…。』
おそ「…ブフッ!愛ちゃん、今すっごい面白い顔してるよ!?」
『あの…おそ松さん。』
おそ「ん?」
『犯さないんですか。』