第5章 おやすみなさい
トド「ごちそ~さま~。」
カラ「ご馳走様。デリシャスだったぜ!」
おそ「うんまかったー!これからに期待できてお兄さん安心だよ愛ちゃん!」
十四「ごちそーさまでした!!」
一「ご馳走様。」
チョロ「ありがとう愛ちゃん。美味しかったよ。」
『良かったです。』
満足げな表情で寛ぐ彼らの顔を見て胸を撫で下ろす。
次はもっとちゃんとしたご飯作らないと。
『温かいお茶でもいれてきますね。』
おそ「お!愛ちゃん気が利く~!」
チョロ「頼むよ。」
『分かりました。』
カラ「次はちゃんと自分の分もいれてこいよ。」
『う…ハイ、』
グラサンからちらりと悪戯そうに笑う瞳が覗く。
私は恥ずかしさを誤魔化すように食器を下げてそそくさとキッチンへ運んだ。
『…。』
誰かと一緒に、テーブルに座って温かいご飯を食べた。
そんな普通の人間扱いはしばらくご無沙汰だったせいか。
彼らが私を一人の人として扱ってくれることが嬉しくて、つい心が浮ついてしまう。
『ううん、思い上がっちゃ駄目…。』
いい加減に学習しろと自分に言い聞かせる。
散々上げといて、底へ叩きつけられることなんて今まで何度経験したか。
それなのに…懲りずに心の何処かに期待が芽生える自分に呆れる。
『えっと…茶葉どこだろ?』
ありそうな場所を探っていると、ギリギリ私の手が届かない高さの棚の中に見つけた。
目一杯背伸びをしても届きそうで届かない。
『フンッ…!』トンッ
届いた!!
…と思ったら指で奥へ押しのけてしまった。
『ハァ…。』
十四「ッハハ!!」
『ひぇ!?』
突然背後から聞こえた笑い声。
驚いて振り返ると十四松さんがいた。
十四「イス使えば良いのに、愛ちゃん面白いね!!」
『あ…』
なるほど…。
十四「ハイ!どーぞ!」
十四松さんは私が跳んでも届かなかった茶葉をひょいと手に取り、渡してくれた。
『すみません、ありがとうございます。』
十四松さんって…紳士的な人だな。
表情も常に明るくて、話し方も元気で…
十四「ん?どしたの?」
『へっ、?』
十四「ぼくの顔に何かついてる?」ペタペタ
『あっ…いえ!すぐにお茶入れますね!』