第16章 16.震える手
"ICU"
そう書かれた部屋
「ちゃん…大丈夫?」
大野先輩にそう聞かれるけど、
どうしても声が出なくて扉にも手が…
『翔くん…は…なんで…事故に…』
「ん? あ、えっとね……」
『大野先輩……?』
「オイラと飲んだ帰りに……うん」
『大野先輩と…?』
「んあ?そうだよ…そうそう…そうなの」
なんでだろう。ホッとしてる自分がいる
あたしのセイじゃなかったって…
最低な自分がどこかにいる。
「俺、大野さんとコーヒー買ってきますね」
『え、二宮くん』
「大丈夫だから。お姉さんなら…」
そう言って二宮くんは大野先輩と
どこかへいってしまった。