第16章 16.震える手
ガチャっ
震える手を抑えながらあたしは
翔くんがいるところにゆっくりと向かった
『…………っ……』
ベッドに眠る翔くんは、
身体中、包帯で巻かれていて……
たくさんの傷があって、
それと同じくらいの機械が付けられてた
『翔くん…っ……どうして……』
涙は止めどなく溢れ出て、
その場でしゃがみこんだ。
「もしや、ご家族の方ですか?」
『っ……あ、すいません……っ
友人……です』
白衣を着たお医者さんがそう聞いてきた
「そうですか……お話があったんですが、」
『あ、あの…っ……翔くん…櫻井さんは…
どのような…事故だったんですか……っ』
「7時45分頃だったかな……
そのくらいに信号無視された車に……」
7時45分……
それはあのお店からあたしが出て、
15分くらい後の話……
ていうことは……嘘……でしょ?