第18章 18.奇跡と運命
二宮くんは優しい
自分より人のことばかり
だから、私はあの時も拾ってしまった
あのときから運命は始まっていたのかも…
「オイラ、どっちの味方にもなれねぇや」
『え……?』
病室で大野先輩が買ってきた缶コーヒーを
飲みながら大野先輩の話を聞いていた。
「翔ちゃんはね、ちゃんのこと
高校のときから好きだったんだよ?」
『え……』
「入学式で一目惚れだって
なんか翔ちゃんぽいじゃんね?ふふ」
翔くんが、あたしを……好き?
「んで、オイラはちゃんに
隠してたのねぇ……ごめんね?
オイラ、意地悪しちゃった……うん」
『なんで…ですか?』
そう質問すると大野先輩は一瞬黙って、
あたしの方を向いた。
「それは…秘密だよ~…うん…秘密
それで二宮くんが現れた。
また、この子もいい子だもんね……うん」
大野先輩が少し悲しげに缶を見つめる。
「オイラにちょっと似てる。
性格とかそんなんじゃなくてね?
なんか…シチュエーションがね……」
『……なのに味方はしないんです…か?』
「だって、オイラ翔ちゃんも好きだもん
二宮くんも好きだし……ちゃんも
好きだよ……」
なんだろう。少し時間が止まった。
なぜか、高校時代に戻ったみたいに……