第23章 -アオイイナズマ-(青峰大輝)
-青峰side-
雲行きは怪しかったが、練習中に雨が強くなってきて、帰る頃には土砂降り。
オレは良からビニ傘を奪い、きづなに早くしねーと置いてくとだけ声を掛け、いつもよりも早歩きで家に向かった。
「大輝っ‼︎早すぎるっ‼︎」
「おまえが遅すぎんだろ?」
文句を言いながらも後ろから着いてくるきづなの鞄を奪い、ペースはそのままで歩いた。
「ちょっ…大輝?鞄、持てるってば…」
「持ってやるんだから、少しは早く歩けんだろーが。」
「…ありがと。」
…っ⁉︎
さっきまでのスネた声とは違い、ちょっと嬉しそうなきづなの声のトーン。
ほんとに嬉しい時のきづなのこの声は…オレの好きな声だった。
つぅか‼︎早歩きしてる理由気付けっつーの‼︎
「さっさと家入ってヘソ隠しとけよ?」
家が隣同士のオレたち…
「ヘ…⁇…‼︎きょ…今日は大丈夫だと思う…てゆぅか、言わないでよ‼︎ほんとに雷鳴ったらどーすんのよ‼︎」
きづなんちの前で鞄を渡す。
「ヘソ守るしかねーんじゃねーの?」
オレはきづなに鞄を渡して、家に帰った。
家に帰って部屋でゴロゴロしていると、だんだん雷の音が聞こえてくる。
まぁ…稲光とか見えねぇし、雷落ちてるわけじゃねーけど…
窓から見えるきづなの部屋が気になってしまう。
きづなは雷がガキの頃から苦手だった。
まぁ…つっても、ガキの頃の話だし…
つぅか、もう家にいるわけだし…
そう思うのに気になって仕方ないのは…やっぱり…
チッ…しゃーねーな。
隣だから、傘は持たずにきづなの家に向かうと、ちょうどおばさんが出てきた。
「あら、大ちゃん。きづなに用事?」
「…‼︎まぁ…そんなもん。」
「ふふ…ありがと。ちょうどよかった。おばさん、これから仕事なの。きづな、今お風呂入ってるから。よろしくね。」
おばさんは看護師だから、おばさんが夜勤の時はガキの頃はきづなはよくウチに来ていた。
その頃から…だよな。
そう思いながら、勝手にきづなの部屋に向かう。
部屋に向かう時に横を通ったバスルーム…
この奥にいるきづなを…意識せずにはいられなかった。