第45章 -誕生日-(及川徹)
朝、枕元のスマホを見ると、どうやら昨日岩泉とのLIN◯の途中でわたしは寝落ちしてしまったらしい…。
いつもより念入りに準備して、早く学校に向かうと、ちょうど校門の手前で及川と岩泉の後ろ姿を見つけて、駆け寄る。
「及川っ!」
「きづなちゃん⁈どうしたの?こんな早く…」
「あの…ね…た…誕生日おめでとうっ!」
そう言うだけなのに、少し走ったからなのか、それとも緊張しているからか、心臓がドキドキバクバクして、顔が真っ赤になっているのがわかる。
「ぇ⁈きづなちゃん…今…」
「はぁ…だから、言ったろ?」
岩泉が心底呆れたようにわたしと及川を交互に見ている。
「こいつ、宮岡のせいでさっきからずーっとウジウジめんどくさかったんだからな?責任取れよ?」
「岩ちゃん‼︎別にウジウジしてないってば‼︎」
「責任て…」
「きづなちゃん、違うからね?オレは別に…」
「及川……好き。」
「え…?」
わたしは及川の返事を聞く前に及川のネクタイをグッと引っ張り…そのまま及川にキスをした。
「ちゃ…んと…責任取る…から…」
「ちょっ…なんできづなちゃんがそんな男前なわけ⁈」
「うーん…なんか色々吹っ切れたから。ありがとう、岩泉!」
「はぁ…勝手にしろ。先行くからな。クソ川、練習には遅れんなよ?」
「え⁈なんで岩ちゃんにありがとうって言うの⁈2人何があったの⁈」
岩泉が行ってしまうと、及川に手を引かれ、学校の横の路地裏に連れていかれ、詰め寄られてしまう。
「別になんでもないよ。」
「ふーん。彼氏に秘密を作るんだ?」
「ち…ちがっ…‼︎それに彼氏って…」
「オレのコト好きなんでしょ?責任取ってくれるんじゃないの?」
「お…及川の気持ち…聞いてないもん…」
「好きに決まってんじゃん」
… チュ。
そのままキスをされ、それからなかなか及川はわたしを放してくれなくて、朝練に遅刻しそうになり、やっと放してくれた。
「放課後は空けておいてね?彼女さん?」
先週のドタキャンは、告白された女のコに誕生日当日邪魔しない…1日付き合ってくれたら諦めるから…と言われたから…らしく、及川は自分の誕生日は、わたしと過ごすと決めていたみたいだった。
「プレゼントはきづなちゃんだからね♡」
---End---