第6章 Alibi
肩に載せた智君の指がくい込む。
ふと視線を上げると、眉間に皺を寄せて湧き上がる快感を堪える智君の顔。
「しょ、も、無理…」
訴える瞳から涙が零れる。
イケよ…
俺に頂戴よ…
智君を…
絡める舌先で括れをなぞりながら、搾り取るように吸い上げてやる。
「ん、はっ…ぁ…イク…ッ…!」
俺の口の中で智君が弾ける。
口の中に熱と智君の匂いが広がった。
脱力したように前のめりに倒れ込む身体を受け止める。
「…狡いよ…俺だけ…」
すっかり上がった呼吸に肩を上下させながら、智君の手が俺のネクタイを緩める。
「翔も脱げよ…」
智君のトロンとした瞳が俺を誘う。
俺はジャケットを脱ぎ捨て、智君が緩めたネクタイを抜き取ると、カッターシャツのボタンを外しにかかった。
「ふふ…、手伝ってやるよ…」
俺の不器用な手つきにもどかしさを感じたのか、智君の器用な指先がボタンを一つ、また一つと外していった。
そして全てを外し終えると、俺の肩からカッターシャツをスルリと落とし、智君が付けた爪痕に唇を寄せた。
「んぁ…っ…」
チリっとした痛みと共に、智君がクスッと笑う声が聞こえた。
「痕、つけてやったぜ?」
智君の所有物だという証。
それが堪らなく嬉しくて仕方がない。