第40章 Everyday…
「俺…さ、翔みたいに頭良くないから、上手く言えないんだけどさ…。何て言ったら良いのかな…」
俺の背中に回した智君の手が、俺の背中を静かに上下する。
「傍にいるから不安になる…って言うか…。いつでも触れられる場所に翔がいる…って思うとさ、こんなに幸せで良いのか…って、不安になる時があるんだ…」
幸せ…
智君が俺といることを、幸せだと感じてくれている…
それはとても嬉しいことだし、俺だって同じ気持ちだ。
あれ程苦しく辛い時間を乗り越えて、漸く掴んだこの時間が、智君と過ごすこの空間が、この上なく幸せだと感じている。
でも、智君の感じている不安と、俺の感じている不安は、全く別の種類のものだ。
智君をまた誰かに奪われてしまうんじゃないか…
俺の手を離れ、飛び立ってしまうんじゃないか…
漸く取り戻した幸せな時間が壊れてしまうんじゃないかって…
ただただそれが怖くて、考えれば考える程に不安非が募って…、どうしようもないんだ。
「女々しい男だと思われるかもしれないけど…、俺はもう二度と俺以外の奴に、君を…」
出来ることなら、ずっと俺だけの檻の中に、君を閉じ込めておきたい。
でもそれが簡単な事じゃないって分かってるから…、だから苦しいんだ。