• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第40章 Everyday…


咄嗟に両腕に抱き留めた智君は、酷く震えていて…

両手から伝わって来るその震えに、自分自身の度量が小ささを感じた。

情けなくて、恥ずかしくて…

俺は智君を強く抱き締めた。

「ごめん…」

「だから、謝るなって…」

「違うんだ…、俺…、俺さ…」

智君の肩口に額をコツンと乗せ、絞り出すように呟く俺に、智君が小さな相槌を打ちながら、俺の背中に両腕を回した。

「不安で…。触れようと思えばすぐ触れられる場所に智君はいるのに…、不安で堪らないんた…」

こんなにも近くに君の鼓動を感じることが出来るのに…

それなのにどうしてこんなにも不安で、寂しくて堪らないんだろう…

「ねぇ、翔? 俺達が離れてた時間て、二年近くあるんだよ?」

あのクリスマスイブの夜、俺の目の前で智君が連行されて、それから冤罪が晴れて出所するまで凡そ一年…

その後俺は俺自身が犯した罪を償うため収監され…

智君の言う通り、結局俺達は約二年もの間、自由に会うこともままならない状態が続いた。

でも、それでも…

「こんなに不安を感じたことはなかった…。たとえ離れていても…、智君に触れられなくても、平気だったんだ…」

「うん…、分かるよ…。俺も翔と同じ気持ちだから…」

えっ…、智君…が…?

俺と同じ気持ちだったなんて、考えもしなかった。
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp