第40章 Everyday…
咄嗟に両腕に抱き留めた智君は、酷く震えていて…
両手から伝わって来るその震えに、自分自身の度量が小ささを感じた。
情けなくて、恥ずかしくて…
俺は智君を強く抱き締めた。
「ごめん…」
「だから、謝るなって…」
「違うんだ…、俺…、俺さ…」
智君の肩口に額をコツンと乗せ、絞り出すように呟く俺に、智君が小さな相槌を打ちながら、俺の背中に両腕を回した。
「不安で…。触れようと思えばすぐ触れられる場所に智君はいるのに…、不安で堪らないんた…」
こんなにも近くに君の鼓動を感じることが出来るのに…
それなのにどうしてこんなにも不安で、寂しくて堪らないんだろう…
「ねぇ、翔? 俺達が離れてた時間て、二年近くあるんだよ?」
あのクリスマスイブの夜、俺の目の前で智君が連行されて、それから冤罪が晴れて出所するまで凡そ一年…
その後俺は俺自身が犯した罪を償うため収監され…
智君の言う通り、結局俺達は約二年もの間、自由に会うこともままならない状態が続いた。
でも、それでも…
「こんなに不安を感じたことはなかった…。たとえ離れていても…、智君に触れられなくても、平気だったんだ…」
「うん…、分かるよ…。俺も翔と同じ気持ちだから…」
えっ…、智君…が…?
俺と同じ気持ちだったなんて、考えもしなかった。