• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第40章 Everyday…


機械油と汗の匂いが染み込んだTシャツを捲り上げ、同じ性を持つ男とは思えない、滑らかな肌を手で撫で回す。

深く重なったままの唇の端からは、どちらの物かも区別のつかない唾液が溢れ出した。

こんなの間違ってる…
こんなんじゃ駄目だ…

俺は智君を傷付けたいわけじゃない。

そう思ったその時…

それまで息苦しさから逃れようと、必死で藻掻いていた智君の手が、パタリとその動きを止めた。

「智…君…?」

唇を離し、名前を呼んでみる。

必死になり過ぎて気付かなかったけど、咄嗟に俺から逸らした両目は、真っ赤に充血していて、今にも溢れ落ちそうなくらいに、涙が溜まっていた。

「ごめ…ん…、ごめんね、智君…」

相手の気持ちなんてこれっぽっちも考えない一方的なセックスが、これまで智君にどれだけの恐怖と屈辱を与えて来たか…、俺はそれを嫌って程分かってた筈なのに…

なのにこんな…

「いいよ…、謝んなくて…」

「で、でも…」

「いいって…。それより飯にしようぜ? 腹減った…」

「う、うん…」

呆然と立ち尽くす俺の前で、ダイニングテーブルに押し付けられた身体をゆっくりと起こす智君…

でも余程怖い想いをしたのか、両足が床に着いた瞬間、細い身体がグラリと大きく揺れた。
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp